言語聴覚士国家試験対策 要点整理11
ミニレクチャー 言語発達障害008「4歳〜6歳」
┏きょうのポイント━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃・思考や判断、言語の発達は、生活空間の拡大、新しい社会・集団生活での経験などと密接┃
┃ に関連する。                                  ┃
┃・3歳後半から4歳代以降に「音節分解・音節抽出能力」が育つ。           ┃
┃・約90%が基本音節文字が読める状態になって小学校に入学するが、それに至るまでの ┃
┃ 過程は個人差が非常に大きい。                          ┃
┃・学童期には「二次的ことば」が獲得される。                    ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

3、4歳から6歳頃までの子どもの言語発達には目ざましいものがあります。この時期には幼稚園、保育園への入園、小学校への入学など新しい社会・集団生活を経験することで、生活空間が拡大し、多くの新しい経験を通して、子どもは思考や判断、言語能力を大きく伸ばします。
今回は少し長くなりましたが読んでください。
───────────────────────────────────────────
◆この時期の思考、言語発達面の特徴
(1)生活空間、経験の拡大に伴って能動語彙、理解語彙の範囲が著しく拡大します。
(2)自分の考えや意見を表現する能力も著しく発達し、3歳までに習得した「単文」の構造や機能が発達するだけでなく、より複雑な「複文」を用いることが可能となります。
(3)筋のある話を理解したり、作ったりする新しい言語行為の発生と発達がみられます。3歳頃までは「対話」がコミュニケーション形式の中心であったが、4歳以降は自分の考えや経験を筋道立てて話す能力も発達します(これが「二次的ことば」につながる)。
(4)3歳代末から4歳にかけて「内言」が発生し、「独り言」が減少します。
(5)ことばや言語についての初歩的な自覚が発生し、言語の構造(例えば、語頭音や語尾音、文の初めの単語など)や、語の意味や語と語の関係(例えば、反対語、上位語)に、気づき始めます。
(6)初歩的な読み書きの能力を習得します。かな文字の読み書きの能力が、非常にゆっくりとしたテンポで、幼児期全体にわたって進みます。就学を向かえる頃には多くの子ども(約90%)は、基本音節文字のほとんどを読める状態になります。
───────────────────────────────────────────
上記についていくつか補足しておきます。
◆能動語彙は、3歳までに800〜1000語であるとすると、4歳までに1500語内外、5歳までに2000〜2400語、6歳までに3000語前後に達すると考えられ、4〜6歳の幼児期に語彙数は3歳時の3倍に増えると推測されています。
◆小学校に入学する時点で、新入生の90%(もしくはそれ以上)は基本音節71文字のほぼ全部を正しく読むことができ、71文字の半分(もしくはそれ以上)を正しく書くことができる状態になっています。しかし、それに至るまでの過程は、非常に個人差が大きく、個々のタイプだけでなく、地域環境や家庭環境なども関与すると考えられています。
◆「二次的ことば」とは、子どもが学童期に入って新たにその獲得が求められることばのことです。子どもが授業場面で求められることばは、それまでの生活の中で身につけてきたことばとは質を異にします。簡単に特徴を述べると、(a)コミュニケーションの対象が自分と直接交渉のない未知の不特定多数者に向けられる、(b)よって、現実の場面を離れたところで、「ことばの文脈」そのものによってコミュニケーションを成立させる必要が求められる、(c)一次的ことばが会話式の相互交渉中心であったのに対し、二次的ことばは自分の側からの一方向的伝達行為(例えば「発表」など)として行われる、(d)コミュニケーション媒体が「話しことば」だけでなく「書きことば」も重要となる。・・・などです。

【国試の関連問題】──────────────────────────────────
第6回専門 問題41 発達段階について誤っている組合せはどれか。
1.前言語期―――――――共同注視の発達
2.単語獲得期――――――語の拡張的使用
3.幼児期前期――――――物事の理由の説明
4.幼児期後期――――――音韻意識の成長
5.学童期――――――――具象から抽象的意味へ
解答:3

第7回専門 問題36 言語発達遅滞が疑われるのはどれか。
a.1歳で動詞を理解できない。
b.2歳で有意語が出ない。
c.3歳で2語文が出ない。
d.4歳で会話ができない。
e.5歳で文字が読めない。
1.a、b、c  2.a、b、e  3.a、d、e  4.b、c、d  5.
c、d、e
解答:4

第2回基礎 問題93 二次的ことばの特徴でないのはどれか。
1.不特定の人を対象とする。
2.話しことばを媒体とする。
3.書きことばを媒体とする。
4.日常生活の中で使用・獲得される。
5.現実を離れた文脈で用いることができる。
解答:4

第8回専門 問題37 学童期の言語特徴として適切でないのはどれか。
1.抽象的な語彙を獲得する。
2.間接的な表現を用いる。
3.会話が身近なことに限定される。
4.相手の反応を見て表現を修正する。
5.読み書きが発達する。
解答:3
参考─────────────────────────────────────────
「幼児の生活と教育 4 理解と表現の発達」(岩波書店)第6章,幼児のことばと文字:天野清
岡本夏木「ことばと発達」(岩波新書)
しおみとしゆき「幼児の文字教育」(大月書店)


 

個人以外での利用はご遠慮下さい。学校・授業・セミナー等でご利用の場合は、必ずご連絡ください。