言語聴覚士国家試験対策 要点整理
言語学vol.2
 
攻略困難な言語学の要点を簡潔にまとめました。
本シリーズ1〜3を理解していれば、第1〜8回の言語学問題の約9割が正答可能で
す(統語構造の問題は解けません・・・)。
総チェック時にご利用ください。
 

その2「形態論/統語論」

【形態論】

  ☆形態素:意味をもつ最小の単位
  
  ☆意味
   語彙的意味:それだけで意味をもつもの。
   文法的意味:内容語を持つものについて全体の中で意味を成す。
         置き換え出来ない。
 
  ☆自由形態素と拘束形態素
   自由形態素:単独でも文を構成することが出来る形態素
   拘束形態素:単独では文を構成できず必ず他の形態素と一緒でないと文を構成
         できない形態素

  ☆内容形態素と機能形態素
   内容形態素:名詞や動詞、形容詞語幹、副詞など個別的な内容を表す形態素
   機能形態素:助詞や助動詞語幹など文法的な機能を持った形態素

  ☆単純語:自由形態素だけからなる語

  ☆合成語
   派生語:自由形態素または拘束形態素+接辞または活用語尾からなる語
   複合語:派生語以外の合成語

  ☆形態素交替:一つの形態素が異なる語の中で発音を替えること
   ・交替のもととなる音形を形態音素という。
   ・形態素交替は/e/と/a/の交替が一般的(例外もある)。
   ex)   //hon// 形態素
      ┏━━━╋━━━━┓
    /hon/ /pon/ /bon/   形態音素は/h/ /p/ /b/
   

  ☆日本語の語類:日本語は3つ(和語、漢語、外来語)からなる。
   和語
    ・和語は大和言葉で日本語の基礎語彙
   漢語
    ・漢語は6世紀以前に中国から入ってきた言葉、音。
    ・特殊モーラ、拗音は中国から入ってきた。
    ・日本に入ってきた漢字の読み方は、呉音、漢音、唐音の3つ。
   外来語
    ・16世紀半ばにヨーロッパ系から入ってきた言葉、音。
    ・ポルトガルが最初。元に近い形を残しつつ日本語にする(CV音節)。
      
  ☆連濁:2つの語が結合して1つ語を作るときに後ろの語の語頭が変化する。
      変化時は3つの原理(経済性、異化、忠実性)が働く。
      結合する語が対等の場合は(赤+白など)生じない。
   ・経済性:発声しやすいようにする。
     ex)声帯振動ON/OFFの切り替えを少なくする。   
             /fudebako/ 
          「筆」      「箱」
     語結合前 fude    hako  
     声帯振動 −+++    −+−+
      連濁後 fude    bako 
     声帯振動 −+++    ++−+
   ・異化:目立ちを残す。
     ex)全て同じ声帯振動にならないように目立ちを残し連濁しない。
             /umikaze/ 
          「海」      「風」
     語結合前 umi     kaze  
     声帯振動 +++     −+++
      結合後 umi     kaze 
     声帯振動 +++     −+++
   ・忠実性:なるべくもとの形を残す。2つも変えたりしない。
   

【統語論】

  ☆活用:述語が文法的意味を表すために語形を変えること
    
  ☆類型論
   膠着語:日本語、韓国語、モンゴル語、トルコ語
   孤立語:中国語
   屈折語:英語、フランス語、ドイツ語、ラテン語、ギリシャ語
   抱合語:エスキモー語

  ☆日本語基本語順:SOV

  ☆表層格と深層格
   表層格:形としての格。主格、対格、与格
   深層格:意味としての格。動作主、対象、場所など
   *表層格と深層格は必ずしも一致しない!
  
  ☆格
   名詞は文中で述語に対して特定の文法的関係を担っている。これを格という。
   日本語では格は助詞(格助詞)で表される。

  ☆格枠組み:ある動詞がとる必須補語のリストをのこと

  ☆補語:述語が事態を描くのに必要な要素のこと
   必須補語:その文が成立するために絶対に必要な補語
   副次補語:絶対に必要とは言えない補語
  
  ☆能格構造と対格構造
   能格構造:自動詞の主語と他動詞の目的語が同じ表層格で表される。
   対格構造:自動詞の主語と他動詞の主語が同じ表層格で表され、自動詞の主語
        と他動詞の目的語が異なる表層格で表される。日本語は対格構造。

  ☆文法カテゴリー
   命題:概念的内容や出来事  
     ボイス
     アスペクト
     テンス
     肯否
     丁寧さ
   モダリティー:出来事に対する話し手の主観
     対事的モダリティー
     対人的モダリティー

  ☆生成文法:チョムスキー
   ・頭の中で文をどのように作り上げているか。
    チョムスキーは一つ一つコンポーネントで独立で存在していると考えている。
   ・言語一般に当てはまる普遍的な原理を追求するもの。
     内部構造を明示する手段としての樹形図
     生成の手順として書き換え規則
     語彙項目(辞書で用いられている形)
   ・流れ
     基底部→深層構造→変形規則→表層構造→音韻部門→音声
       基底部:言おうとすることのまとまり
       深層構造:主語、目的語なども文法関係を明示するレベル
       変形規則:深層構造を表層構造に変える役割
       表層構造:統語部門の最終的なアウトプット
        
  ☆文:文とは発話の最小単位


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〈参考文献〉

「言語聴覚士テキスト」(医歯薬出版株式会社)
「言語聴覚士指定講習会テキスト第2版」(医歯薬出版株式会社)
「新しい日本語学入門」庵功雄(スリーエーネットワーク)
「生成言語学入門」井上和子、原田かづ子、阿部泰明(大修館書店)
「日本語音声学入門」斉藤純男(三省堂)
「よくわかる言語学入門」町田健、籾山洋介(バベル・ブレス)
「社会言語学」真田信治、渋谷勝巳、陣内正敬、杉戸清樹(おうふう)

 

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