言語聴覚士国家試験対策 要点整理
言語学vol.1
 
攻略困難な言語学の要点を簡潔にまとめました。
本シリーズ1〜3を理解していれば、第1〜8回の言語学問題の約9割が正答可能で
す(統語構造の問題は解けません・・・)。
総チェック時にご利用ください。
 

その1「言語とは/音韻論」

【言語とは】

 1.言語学とは・・・
   ☆人間の言語、言語能力とは何かを追求するもの。
   ☆言語学は全ての言語を対象にしているので、非流暢、吃音などの言語障害も
    含む。
   言語とは・・・
   ☆意味を伝達する最も重要な単位は文

 2.言語獲得
   ☆獲得と習得の違い(但し、2つに分けずに両方「習得」と言う人もいる)
     獲得:子供が母語(第1言語)を身につける時に用いる言葉
     習得:第2言語を身につける時に用いる言葉

   ☆経験論VS生得論
     経験論:ブルームフィールド
         心理学的な考え方
         「経験によって言語を獲得する」
         第2言語習得の主流
  
     生得論:ノーム チョムスキー
         言語学的な考え方
         「生得的に備わっている言語についての知識つまりLADがある」
        (LADとはLanguage Acquisition Device:言語獲得装置)
         LADは第1言語にのみ対応する。
         LADが活性化している時期を臨界期という。
         遺伝的に与えられる言語の仕組みを普遍文法と呼んでいる。

 3.言語の特徴
   ☆人間の言語の特徴
    ・恣意性
    ・学習の必要性
    ・創造性(生産性)
    ・二重分節性
    ・分節性
    ・転位(超越性)
    ・パターン化(構造依存性)
    ・線条性
    ・文化的伝承
    ・非連続性

   ☆言語の目的
    ・情報談話
    ・言語交際
    ・その他(歌などの芸術、独り言など)

   ☆自然発話
     4000〜5000語/1時間使われる語彙項目のこと

   ☆話し言葉と書き言葉を有標性
     話し言葉:無標
     書き言葉:有標

   ☆音声学と言語学の関係
    音声学と言語学は密接な関係。観察できるのは音声学の部分である。
    言語学は脳で行われている言語活動を扱うから物理的な観察は出来ない。
    *チェック*
     単音と音素の違い!
     /  / 音韻表記の一番最少の単位、音素、言語学
     [  ] 音声表記の一番最少の単位、単音、音声学

       /s/
      ┏━┻━┓
     [s] [∫]
      
   ☆ラングとパロール(フェルディナン・ド・ソシュール)
     パロール:ラングの具体化したもの
     ラング :話者に共通の抽象的存在
     ラングとパロールの関係:ラングがパロールを支配している。

   ☆言語記号
     規定:「ラングは概念を表す記号の体系である」
     記号:表すもの(能記、シニフィアン、記号表現) 
        表されるもの(所記、シニフィエ、言語内容)
     言語記号:音声表現と意味内容が結びついたもの。記号としての言語。
    *チョムスキーは言語の仕組みを「言語能力」、言語使用を「言語運用」と
     している。

 4.言語の諸単位
   音韻論:言語音の体系
       音素と具体的な音声との関係を明確にする。
       意味の弁別に関与する最小の単位の音素を扱う。
   形態論:形態素の体系
       意味を持つ最小の単位である形態素を扱う。
   統語論:語と語の関係
       文の構成要素である語の配列に関する研究を行う。
   意味論:語や文が持つ意味に関する研究を行う。
   語用論:文が実際の状況下でどう使われているかを研究する。


【音韻論】

  ☆音素:「語の意味を区別する働きのある最小の音韻論的単位」
   ex)[sakana]→/s/  魚
     [takana]→/t/  高菜
      このsとtの違いで意味が変わる。音素は訓令式で書くことが多い。
 
  ☆異音
   自由異音:意味の違いを持たない異音
        パロールの違いはあってもラングに違いはない。
        ex)/r/        
         ┏━┻━┓      
        [] [l]      
   
   条件異音:ある特定の条件で現れる異音
        ex)/s/
         ┏━┻━┓
        [s] [∫]

  ☆相補分布
   ・問題となる2音が同一の音素であると推論づける概念
   ・「Aが起こる場所ではBは起こらず、Bが起こる場所ではAは起こらない」
    と言う関係にある場合、両者が相補分布をなすという。
   ・条件異音があるかぎり相補分布がある。

  ☆ミニマルペア(最小対話)
   ・相違する最小の音声単位以外は同一の音声部分をもっているような2つの語を
    最小対話=ミニマルペアという。
    ex)「たき」と「まき」 
      /taki/ /maki/

  ☆同化:環境に影響を受けること
    順行同化:前の影響を受ける。
     ex)中舌化
    逆行同化:後ろの影響を受ける。
     ex)[∫i]
       [i]の位置に引っ張られて[∫]になる。
       *撥音の異音も後ろの影響
 
  ☆中和:本来持っている対立がなくなること
   ・有声・無声、長・短の対立がなくなる。
   ・曖昧な中間的な調音点になる。
   *語末は中和されやすい環境である。
  
  ☆無声化
   ・無声子音に挟まれた/i//u/は無声化しやすい。
   ・語末で無声子音+母音の時
  *無声化のポイント
   ・関東地方で起こりやすい。
   ・高母音に起こりやすい。
   ・無声子音に挟まれた環境か、無声子音と語境界の間で起こりやすい。
   ・語末で起こりやすい。
   但し!個人差、方言差そのときの話し方で変わるから、ルールではない。
   
  ☆モーラ:発話における長さの単位、等時間的単位
   自立モーラ
   特殊モーラ:長音、二重母音、撥音、促音

  ☆シラブル:基本的に母音を中心とする音のまとまり

  ☆フット:リズムの単位
   ・1フットは2モーラ
   ・日本語では4モーラが一番落ち着く。
      
  ☆弁別素性:素性分析。素性の+−をする。

  ☆プロソディー:韻律とも呼ばれる。
   ・長さ
   ・強さ(ストレス)
   ・高さ(アクセント)

 
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〈参考文献〉

「言語聴覚士テキスト」(医歯薬出版株式会社)
「言語聴覚士指定講習会テキスト第2版」(医歯薬出版株式会社)
「新しい日本語学入門」庵功雄(スリーエーネットワーク)
「生成言語学入門」井上和子、原田かづ子、阿部泰明(大修館書店)
「日本語音声学入門」斉藤純男(三省堂)
「よくわかる言語学入門」町田健、籾山洋介(バベル・ブレス)
「社会言語学」真田信治、渋谷勝巳、陣内正敬、杉戸清樹(おうふう)

 

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